第36話 マークとの再会

「すると、この状況は想定されていたと?」


 大図書館から急遽戻ってきたマー

ク=シュリュズベリィからの報告を

財団極東支部で綾野祐介は受けていた。財団

とマークの関係は修復していなかったが、あ

くまで綾野を個人としてマークが訪ねてきた

のだ。綾野としてもマークの協力は有り難か

った。


「そうです。旧神の残したモノリスにはそう

記述されていました。」


「それは助かった。で、どういったことが書

かれていたんだ?」


 マークの話は極秘でないと話せない内容だ

った。特に財団の中では。


「わかった。では、一緒に七野修太郎君に会

いに行くかい?」


「そうしましょう。」


「では、支部長と星の智慧ちえ派の火野君にも連

絡しないと。」


「いや、支部長は止めてください。火野とい

う人物も、止めておきましょう。二人で内密

に向かいたいのです。」


「それは、今回の件に関わりがあることなの

か?」


「そうです。特に支部長は。」


「判った。ただ、君が私を訪ねてきているこ

とは支部長の耳にも入っているだろうから何

か別の理由を作って出ないといけないね。」


 綾野は現地で岡本浩太と現状把握と今後の

対応を協議する、という名目で関西へ向かう

ことを支部長に伝えた。


「そうですか。気を付けて行って来てくださ

い。今回の件はどうも今までのものとは少し

違うようですから。」


「違う?」


「そうです。旧支配者たちの封印を解く過程

ではない出来事、という意味ですが。」


「何かご存じなのですか?」


「いいえ。ただそんな感じがするだけです。

何か解かったらすぐに連絡をください。人員

が必要ならば用意します。私もいつでも行け

るようにしておきますから。」


「解かりました。」


 極東支部長マリア=ディレーシアはあっさ

りと綾野の関西行きを承認した。何か知って

いるようだった。


 マークと合流し綾野は西に向かった。とり

あえずは岡本浩太と接触することにした。そ

の上で杉江統一や直接七野修太郎に会って一

気に解決に導く。


「いえ、七野修太郎君に会うのは後回しです。

その前に探さないといけない人がいます。」


「誰だい?」


「桂田利明という人物です。」


 そう言えば以前マリアも桂田の行方の話を

していた。岡本浩太にもできれば桂田を探す

ように伝えてあった。


「それなら、とりあえず浩太に会って確かめ

よう。彼には桂田利明を探すように伝えてあ

るから。」


 こうして二人は岡本浩太の元を訪ねるのだ

った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る