第10話 家庭訪問

「あなたたちは?」


 七野修太郎の家を訪ねると杉江と言う家庭

教師が対応に出た。本人は既に帰宅している

ようだし母親も在宅しているようだ。


「修太郎君の友達です。少し彼と話をしたく

て来ました。電話しても出ないしラインも既

読にもならないので。」


「そうですか。彼は少し体調が悪くて休んで

いますので、今日の所はお引取りいただけま

すか。明日はまた普通に登校できると思いま

すので。お名前だけお伺いして、来られてこ

とは本人に伝えます。」


「そうですか。私が君塚理恵、彼女は斎藤加

奈子、彼は向坂健太の3人です。よろしくお

伝えください。」


 3人は諦めて帰ることにした。明日には学

校で会えるのだ。そのときに問い詰めればい

い。


 しかし翌日、七野修太郎は来なかった。


「修太郎、どうしたんだろう。相変わらず電

話もメールもラインも駄目だ。」


「今日、もう一度行ってみる?加奈子、どう

する?」


「何か、確かめるのが怖い。触れてはいけな

い事のような気がする。気になって仕方がな

いのはその通りなんだけど、やっぱり怖い、

の方が強いかも。」


「加奈子がそんな弱気でどうすんのよ。わか

った、私と健太で行ってみる。結果はすぐ伝

えるから。」


「伝えられないことは、伝えないで。本当に

怖いから。」


「わかった。ちゃんと判断して言うから。」


 放課後。今度は2人で七野家を訪ねた。再

び対応には杉江と言う家庭教師が出てきた。

住込みらしい。そんなに裕福な家庭じゃなか

ったはずだが。


「昨日はどうも。修太郎君、来なかったんで

すけど、そんなに体調悪いんですか?心配で

また来ました。」


「今日は1人少ないですね。たしか斎藤さん

と仰いましたか。」


「加奈子は今日は用事があって。それで、修

太郎君はどうなんですか?少しでいいので会

わせてもらえませんか。」


 杉江は少し考えて答えた。


「本人は今、まだ休んでいますので、僕でよ

ければ少しお話させていただきましょうか。

ここでは何ですので、近くのファミレスでで

も。」


 この際、情報は少しでも得たい。2人は杉

江の申し出を受けることにした。


 徒歩5分ほどで行けるファミリーレストラ

ンに着くと杉江が話し始めた。


「さて、何からお話しましょうか。」 

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