フルートの流れる日常(クトゥルーの復活第5章)

綾野祐介

第1話 目覚め

 目覚めると見知らぬ場所だった。なんだ

か真っ白でどこが境界なのか判らない。 


 フルートの音が少し煩い。


 そして、僕はになってた。


 なぜになってたか?そんなこと

はこっちが聞きたいよ。

 どうしてになっていると判った

のか?それは、うーん、どうしてなんだろう

ね。何故かそう気が付いてしまったって感じ

かな。そもそもって何?


 鏡がないから自分の顔はわからないけど、

何か混沌とした不定形のぷよぷよした物体に

は違いない。自分でもどこが体で手で足なの

かも自覚できない。


君は居ないかな?」


 なぜ、その名前が出てきたのかも判らない

し、どこが口で、その口からでた言葉なのか

も判らない。発音していない気もする。


「こちらに。我があるじよ、いかがなされました

か?」


 そこには何もなかったはずの場所にいきな

り現れた黒づくめの男が片膝を立てて傅いて

いた。この男の人が

かいう名前なのかな?


「いやさ~、なんか起きたらこの格好でさ、

自分でも状況がよく判らないんだよね。君、

何か知らない?」


 彼に対しての口調はいつもの僕の口調とは

少し違う。似てるけどね。


「少し待ってください。ああ、なるほど何故

か地球という星の人間に中身が変わっていま

すね。」


 でしょう。僕はただの高校生1年生。進学

校でもない普通高校で普通の成績を収めてい

る、将来安月給のサラリーマン感あふれたモ

テない高校生なんだよ。この仕打ちは誰の仕

業なの?


「何が何だか判らないんですけど。ねえ、ど

うしたら元に戻ります?」


 立場としては、彼より(僕)の

方が上みたいなんで、とりあえず全部任せて

一気に解決だ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る