8月10日 家には帰らない

 野宿には慣れているものの、やはり外で寝ると体のあちこちが蚊に刺されている。まぁ、これは仕方がないか。野宿もこれで四連泊、刺されたところもいつのものかわからない。

 今日も涼しいうちに南下して、距離を少し稼ごう。


 尼御前SAを発つと程なくして福井県に突入。ここも何度かツーリングをしたことがあるのとまだ朝が早いとのことで、ここはさらに南下をする。その先は我が故郷にして出発点である近畿地方に入る。出発してからおよそ半月、やっと日帰りでも行ったことがある地域に近くに戻ってきた。

 滋賀県には北から入県。「関西の水瓶」琵琶湖の最北端を目指す。南端の大津市は滋賀県でももっとも栄えていて、何度も行ったことがある。しかし、北端の奥琵琶は初めてだ。これはこれで面白い。

 それから国道303号線を通って再び福井県に入り、日本海を右手に京都府、宮津市の「天橋立」を目指す。関西人でありながら、意外に行ったことがなかったところだ。

 到着すると、リフトに乗って参上へそして見えるのが天橋立。股の下から覗いて見ると、名前の通り天に通じる橋のように海の真ん中に道ができている。宮城の松島には立ち寄った。もうひとつの日本三景、安芸の宮島は行ったことがあるので日本三大庭園に続き日本三景も制覇だ。個人的に嬉しい。


 そして我が故郷、兵庫県に入る、というより帰ってきた。ここで兵庫県についての特徴であるが、本州を陸路で縦断すると避けては通れない唯一の県なのです。南北に長く、瀬戸内海と日本海両方に面しているのです。

 とはいえ僕の住む西宮は瀬戸内海側、今いるのは日本海側。家に帰るには片道100キロ以上の寄り道をすることになる。そして帰ると気持ちが途切れてしまいそうなので、ここは日本海側を西に抜けて、鳥取県まで行こう。今のゴールは我が家じゃないのだ……。


   * * *


 兵庫県の北西、当時日本最高の鉄橋「余部鉄橋」※の下を潜り抜ける。単車を入れて写真を撮ろうとすると、鉄橋があまりに高い位置にあるので、寝そべって撮らないと画角に収まらないほどだ。


 ここまで来れば鳥取県までもう少し。夕方には鳥取県に到達し、キャンプ場でテントを張って、砂丘を見て、近くの温泉に入ってそれから久しぶりに囲いのあるところで(テントだけど)休むことができる。

 因みに、この日走った距離が道中で一番長い距離となった(400キロ少し)。


   * * *


本日到達した都道府県。

   福井、滋賀、京都、(兵庫)、鳥取  ( )付きは再上陸

                (30/47)


※余部鉄橋は現在は取り壊されて、新しいコンクリートの橋に生まれ変わりました。

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