カウンター席しかない小さな飲み屋3

「ヒンナヒンナ」


僕はぽんぽん口にバイ貝を放り込んでいく。

その度に感謝の言葉を述べながら、

煙草はとっくに消して料理の到着を待っていた。

お通しのバイ貝がうまいのは確かだ。


お待たせしましたと、やってきたのは刺身の盛り合わせだ。


僕が覚えているのはマグロ、本マグロ、はも、甘海老だ。

あと一品何かあった気がするのだが思い出せない。


うーん品揃えはこれ以上ないほどの満足感、

ボリュームも申し分ない。

だけど一人客の僕には少し量が多すぎるかも、

小食の人ならこれ一品でお腹いっぱいになってしまいそうだ。

最近は僕みたいな一人客を憐れんでハーフサイズを用意してくれる店もあるが、わざわざこちらからハーフサイズありますかなんて言えない

ともかくどれから食べようかなんて考えていると地鶏ポン酢も届いた。

これで頼んだ料理は全部揃い、瓶ビールは残りわずか。


「すいません、ビールお代わり下さい」


二杯目の瓶ビールと豪華な料理が目の前に出そろう。

さてと醤油皿に醤油を溜めてわさびを溶いて、、、

最初は、はもにしよう。

テレビか何かで最初はさっぱりしたネタから食べるのが

通だとか。

それならなんだか白っぽいから最初に食べるにはちょうど良いと思ったのだ。


・・・正直後から調べたのだが、はもの刺身を出す店は珍しいらしい

無知な僕はただの白身魚の刺身程度にしか思わなかったのだが

実はすごいお店だったのかも。というか刺身の盛り合わせにしれっと本マグロがのってるってすごくないか?


うまい、、、淡白ながらも、、ああ、、いい表現が見つからない

困ったときのヒンナヒンナ

いやいやここは気の利いた一言でも。

だけど本当に美味い物に出会った時に気の利いた言葉は出てこない。

美味い

マグロも美味い

エビも、本マグロなんて言わずもがなだ

ここで地鶏ポン酢

、、、地鶏ポン酢は刺身に比べると普通かも。

ももか、胸の身の部分だと思うのだが、

湯銭してあってそれにポン酢がかかっている。

刺身のしっとりとした味わいの後では、

鶏肉のぱさぱさした食感が際立ってしまう。

ここは早目に鶏肉を始末して刺身に集中する作戦で行こう。


そんな事を考えていると隣に座っている女性の二人客にすごい物が届いた。


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