絵空事


ため息をついた夜

月は何て無愛想に

美しくて 冷たくて


独りぼっちの世界について

オブラートにも包まない


それぐらいの宣告がいい


それはまるで絵空事

絵筆で描く夢は

まるで陳腐で

青臭くて


全ての人が幸せになれないだなんて

そんな当たり前のこと、もう知っているけど


それはまるで絵空事

絵筆で描く夢は

かすれて

砂に帰して、消えればいい。



このまま消えてしまって

誰かの優しい言葉も

小さく灯す温度も

身勝手な善意も


全部、ぜんぶ。


それはまるで絵空事

絵筆で描く夢は

まるで陳腐で

青臭くて


絵筆で描く夢は

泡立って

塵とともに、風が消し去っても


絵筆で描く夢は

往生際が悪くて。


絵筆を描くあなたは

本当に往生際が悪くて


絵空事を空に色塗るあなたは

絵空事を空に色塗るあなたが

そんなあなたが


バカみたいに美しくてさ

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