慰霊


死者に哀悼と追悼を

微かな灯りで

仄暗い未来へと

手と手をつないで

繋がる世界へ

亡骸を抱きしめて

昨日の貴方へ


死者に哀悼と追悼を

虚言と嘘言で

変わらぬ街で

絶えゆく声を

レコードの針で刻みこんで

壁に爪で付けた痕のような

囁く声

昨日の貴方へ



死者に哀悼と追悼を

生身の腐臭が

蝕む腐敗へ 錆び付く月の

水鏡にも良く似た

剥き出しの 掃き溜めのように

汚水と流れて

浄化機能が死んだこの星のシステムが

破棄されても

会いたい

昨日の貴方へ



死者に哀悼と追悼を

そして飾らぬ月の花束を

奏で色褪せない

昨日の貴方へ

貴方の背中を追いかける

明日の僕へ



死者に哀悼と追悼を

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