第11話笑わない少女と白銀ランク
かつて、イスハーン大陸で猛威を振るった悪しき存在がいる。
誰もが幼い時に親から話を聞いた事だろう。
その大昔において実際に人類を全滅せしめんとし、女神ル・シャラにて封印され、一度古代アル=レギルス文明時代に復活した魔王オージャだが、これはアル=レギルス文明時代に倒されている。
答えは、
まさに数は力であった。
私が落ちたあのクソッタレな
数は力である。それは正しい。しかし、数の差を覆すのもまた力である。
依頼の
ギルド内に入った瞬間ほぼ全員から敵意の視線を受ける。
その視線を無視しながら受け付けへ。
セナさんと目が合った。
途端に慌ててカウンターからこちらに駆けてくるセナさん。
私を引きずるようにギルドの隅へ。
「ちょっと! マキナさん何したんですかっ!!」
セナさんがすごい剣幕で詰め寄ってくる。
私は肩をすくめながら答える。
「なにって、討伐依頼をしていただけよ?」
と言うと呆れたようにため息をついた。
「はあっ じゃあ何で『バルバロイ・アックス』の
私はそれに取り合わず後ろを向いた。
「ちょっと! 聞いて……」
振り向いた先には、一人の男がいた。
こちらを睨みつけながら。
「あっ……ダイスさん」
どうやらこの男が、『バルバロイ・アックス』の
年齢は三十代後半くらいか?
見事な筋肉を金属製の鎧に詰め込み、
その背には
「よう、セナの嬢ちゃん。そいつがマキナってヤツか?」
ダイスは油断なくこちらを伺っている。
へえ、こいつは叩き上げっぽいわね。
魔力が均一に身体を覆っている。
少しは楽しめそうだ。
「どうも、それで鑑定の結果はどうでした?」
軽く会釈してそう言ってやると苦虫を噛み潰したような顔をする。
「気づいてたのか……」
私はなにも言わず、肩を竦めるに留めた。
ダイスは一度後ろの鑑定持ちの男に合図を送ると、やがて懐から一枚の紙を取り出しこちらに突きつけた。
鑑定してみると……『
「それは
その言葉を聞いてセナさんが慌ててダイスに食ってかかる。
「ちょっとまってください! 彼女はまだギルドに登録したばかり何ですよ!」
「だがうちの
と言われ口を噤む。
私は
「受け取ったなら明日からは地獄を見せてやる」
それを見届けたダイスは
地獄……ね。
見せて貰いたいものね。
セナさんがなにやら怒りながらカウンターへ戻っていくのを見送った後、依頼達成の報告をし忘れた事を思い出した。
やれやれ、締まらないわね。
私はセナさんの後を追いかけながらそっとため息をついた。
これは、大なり小なり人が集団で行動する
その
それを回避するためにギルドが一定のルールを定めた物が
終了条件はお互いの
今回はダイスか私の死亡もしくは降参。
次にルールだが、まず街中での戦闘の禁止。これは当たり前とも言える。そんな事を許せば街の領主と揉めるだろうし、ギルドの信頼も地に落ちるだろう。
次に、
これは、現在の
現在では、直接戦闘より、狩り場の閉鎖や街中の依頼を邪魔したり、依頼自体を独占したりなどして資金面から攻めるやり方が主流だからだ。
大体は
掲示板を見れば見事に
敵意の視線もかなりの数あることから、他の街にいた
これからも増えるだろう。
さて、この素敵でクソッタレな状況で私がどうするかと言えば……
学生の本分は勉強だということで学園に
どうせダイスも守りに入るでしょうし、取り合えずば放置させてもらうわ。
学園はほぼ貴族が通っている。いくらコンティナ家の子飼いとはいえ、学園に手を出すのは無謀だろう。
まあ手を出してくれば面倒が減っていいのだけれども。
計画を一段階進めましょうか。
宿舎へ戻ってきてまずやることは、部屋の防御力を高める事。
これでマスターキーも使えないようになった。
寮長には悪いけどね。
一通り仕込みも終わりいい時間なので食堂へと向かう。
今日のご馳走は何だろうか?
多分、血眼になって私を探しているだろうバルバロイ・アックス』のメンバーに手を合わせながら食堂へ急ぐのだった。
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