魔法の才能



 今日の話し相手はお月様


 シャボン玉の未来についてとか

 着飾りネズミの天気予報とか

 濁りアメンボの本当に言いたかった事とか


 繰り返し繰り返し話しているのさ

 もう気が遠くなるほど


 都合が悪くなるとすぐに雲に隠れる君だけど

 そんな僕だって喋れなくなる事もある

 どっちにしたってお互い様だね 


 北の果ての氷がまた一つ溶けて地球の軌道が変わっても

 ここらの石コロは動きもせずに高いびき

 いつもはのんきなあの雲だってあんなに急いでいるって言うのにさ


 七色でカラフルなボールに乗って一輪車を追いかけていこう

 何度も滑って一度も上手く転がせないけど、行きつく先は同じさ

 みんな気長に待っている、壊れた扉の無くした金具の隙間から

 

 キレイに身体を洗ってもいつしかそこら中アカだらけ

 そんな僕に宝石なんて似合わないね

 昨日拾った夜の色の指輪も空に戻してしまおう


 キレイな爪を響かせて尻尾の君よ何処へ行く?

 今度旅の話を聞かせておくれ

 とっておきの薔薇の紅茶を公園のベンチに用意しておくからさ


 退屈をおかずにペンの無軌道な遊びは続いていく

 何もかもが無くなっても心の中の宝物だけは奪えないよ

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