病室

告げられる

残された時間

告げられなかった

あなたとの時間


何度も何度も言いかけて

でもやっぱりって言い留まった


まだ慣れない手つきで

私のために剥いてくれたリンゴ


出されたリンゴはボコボコで

「不器用すぎ」と笑い飛ばした


それでもお見舞いに来るたび

絆創膏だらけになる手を見ていると

「ありがとう」しか出てこない


そんなあなたに伝えたい事

どうやって伝えようか


手紙を書こう 写真を撮ろう

絵を描こう ビデオを回そう

それから、それから…


あなたとの思い出が増えるたび

過ごしたかった未来が増えるたび

静かな病室に響く微かな嗚咽


「もっと…生きたかったな……」


私の気持ちとは裏腹に

病室の外では雲一つない

青空が広がっていた

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