第8話 フリースクール本格スタートまでの軌跡 2
だからこそフリースクール事務局の勝切事務局長に相談して本人に来てもらうことになったのである。
「僕は一九八六年、小学校の三年生の頃に友人や級友から意味も無く悪口を言われ続けたからです」
不登校をした理由を話す勝切事務局長、当時の事を思い出した時にあふれ出した悲しい気持ちを制御し、何とか話を続ける。
「級友達はからかっていたという感覚しかなかったと思います。しかし、僕の存在を否定するような悪口を言われたときはすさまじい嫌気を感じました。先生にもからかいの事実を伝えましたが改善されませんでした。だから僕は不登校を決意しました。でも学校信仰の根強い時代でしたから両親にも責められました。『そんな弱い意志でどうする?学校は必ず行くところだ』と言われて………。
僕としては“学校に行かないんじゃなくて行けない”と両親にわかってほしかったとの思いがありました。大人の都合ばかり押し付けてなかなか≪子どもの気持ち≫を聞いてもらえなかった時期が一番辛かったです」
長話も一段落ついた(長話って言い方は何か違う気がするけど)勝切事務局長は遠くを眺めるような仕草をし、そのあとでゆっくりと二の句を告げる。
「ボクが一番両親に知ってもらいたかったのはその荒れている時の気持ちに早く気づいて欲しかったということです。ボクの経験からのことですが、家族にはわかりづらい『サイン』を出しているということ。その時に助けて欲しいのですから注意深くお子さんを見守っていただきたいと思っています」
勝切事務局長からマイクを渡されたので利道はお礼をして、次に来て頂いているゲストの方にマイクを渡す。
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