第2815話:チャム・ライダン~眼鏡~
「いてて……」
小型の竜との戦いの中、咥えて投げ飛ばされて地面に背中から叩きつけられた。
そのまま前脚で腹を押さえつけられて動けなくなり死を覚悟したのだが、動けなくされただけで踏みつぶすこともなくじっとこちらの顔を見ている。
「貴様……なんだそのダサいメガネは」
「え、」
竜にメガネがダサいと指摘された。
竜が喋ったことよりもメガネがダサいと指摘されたことにびっくりした。
「そんなにおびえずとも良い。そのようにダサいメガネの者を殺したりはしない」
「もしいいメガネを掛けていたら殺されてたかもってことか?」
「いいメガネの者を殺すなどもったいないことはしない!」
「はぁ」
わかった、この竜メガネフェチなのだ。
メガネが好きなので、メガネを掛けているだけで殺さないという判断になるのだろう。
メガネで良かった。
しかし、依然押さえつけられたままで逃げることはできない。
「……そうだな。貴様、街へ戻ったらグブニスタのメガネを買え。もし、次に出会ったとき私の認めるメガネを掛けていたならば、私の持つ宝物を一つ授けよう」
竜にメガネのブランドを指定されるとは思わなかった。
「わかったか?」
「あ、はいわかりました!」
「ならば良し」
そこまで話が付いてようやく解放された。
さすがにそこで歯向かうような真似はせず、いわれた通りに街に帰りグブニスタだったよな……とメガネのブランドを調べる。
確かに竜がおすすめするだけあって良いメガネがずらりと並んでおり、適当に買うかとも思ったがあの竜は認めるメガネと言っていた。
ある程度考えて買うべきだろう。
そんなこんなで買ったメガネ、一応あの竜に見せに行くかと再び竜の元へ出向くとものすごい笑われた上で手のひらサイズの宝物箱を貰った。
中身はあらゆる汚れをきれいさっぱり拭えるメガネ拭きであった。
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