第2053話:ニカゴ・ケミィ〜同期の同郷の〜

「いやぁ、まさかこんなところで同郷、しかも同世代の人に出会えるなんて思わなかったなぁ。あ、この世界では随分と先輩ですね」

「あぁ、君は少し前かなこちらへ来たのは。私は随分と昔にこっちへ来てね。随分と若い頃に死んだものだよ今思えば。そうだ、あの店はまだあるのかい? ほら、駅前のさ、なんて言ったかな」

「駅前ですか? えーと、どこのことだろう、あれかな」

「みなげ屋!」「トロリーラッチ?」

「え、知らん……トロリーラッチって、なんの店だい?」

「駅前にあったでしょう確か。もしかしてトロリーラッチできるより前?」

「私が死ぬ前だから随分前だよ、もう50年ぐらい前」

「50年!? そりゃあわかんないや、トロリーラッチは10年ぐらい前にできただけだし」

「つまり駅前には今、トロリーラッチっていうお店があってみなげ屋はないのかぁ……ってあれ、知ってたかもしれない。トロリーラッチは知らないけど、よく考えたらみなげ屋の店主とこっちで会ってるからみなげ屋もうないこと知ってたわ」

「えー、ところでみなげ屋ってなんなんです?」

「駄菓子屋だよ、駅前のさ。行かなかったのかい? 同世代だろう?」

「駄菓子屋はうちの近所の方へ行ってたので……子供の頃の行動範囲は全然被ってなさそうですね」

「まぁ、子供の頃は世界狭いからしかたないよ」

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