第1990話:ケビー・ロンド~機械の森~
「なんか妙な匂いがする森だな」
その森は何か油臭いというか、空気も少しべたつく、そんな妙な森だ。
森だから火気があれば燃えそうというのはそうなのだが、それ以上に火気に弱そうな森だ。
うっかり焚火でもなんて考えたらすぐに火の海になる気がする。
可燃性のガスを出す樹木もあるという話を聞いたことがあるし、ゴーグルとマスクをつけた状態で通り抜けるのがいいかもしれないな。
「しかし、服がべたべたするのだけはどうにかしたいな……」
ゴーグルで目を保護してるがそこもべたべたになって視界がすぐ悪くなってしまうし、面倒な森だと思いながら歩いていると視界の端を小動物が横切った。
かちょんかちょんという固めの足音を響かせてぴょんぴょんと跳んで行ったのはたぶんウサギに類するものだったと思うのだが……
表面は金属の光沢がある切片を継ぎ接ぎしたような見た目をしている。
メカウサギ……? それも、野生の?
メカウサギは工場で生産されている機械式のウサギのことで、この世界ではギリギリ生命と判断されているのか、生産されていないはずだ。
この森の妙な空気のせいで幻覚を見たのだろうか。
それとも、この森の妙な空気はメカウサギたちの整備用機械油が揮発したものなのかもしれない。
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