第1962話:メシル・プルラリオ~無料~
「おいしかったよ、いくらだい?」
「お代はいらんよ、タダだ、タダ」
昼食を食べてお代を払って出ようと思ったのだが、どういうわけか値段は0パソだった。
「タダ!? 無料って本当にいいのかい? 結構いい料理だったと思うんだか……」
「ああ、いい。もう俺は金もいらないからな」
「どうしてだい? まぁ、この世界なら多少は収入が無くても生活することは余裕だし、収入はいらないというのも一つの考え方だけど、お店をやり続けるならお金のプールはあった方がいいだろう?」
「ああ、通常はそうだ。しかし俺はもういらないのだ。理由は……まぁなんでもいいだろう、さっさと帰るのだよ」
そう言って追い出されてしまった。
うーん、彼が突然何か無欲に目覚めた可能性もあるが、何か様子が妙だった。
払うと言っているのに追い出されたようなものだった、何か代金を受け取るわけにはいかない理由があったんじゃないか。
……と考えていても理由が思い当たるわけでもない。
ちょっと気持ち悪いが、ラッキーだったと思うことにしよう。
そう思い出もしないと、さっきのおいしい料理が台無しな気分になってしまうからな……
いや、ちょっと周りの人に話を聞いてみることにしようか。
いつから無料なのかとか、聞けばわかるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます