第1923話:レバー・ミガシン~鋼の鍋~

「これはさる世界では伝説の防具であり武具である、鋼の鍋だ」

「鋼の鍋」

「そう、鋼の鍋」

「鋼の鍋ってのは……あの鋼の鍋かい? 調理器具として使う?」

「その通り、武具であり防具であり調理器具さ」

「して材質は鋼」

「そう、鋼」

「鋼っていうのはあの、炭素含有量が多い鉄の……?」

「そうです」

「それで、鋼の鍋が伝説の武具で防具な世界が……?」

「ええ、ありますよ」

「それはどういう伝説で……?」

「ある時世界が暗雲に包まれたとき、さる料理人が立ち上がり、鋼の鍋を用いて世界に闇をもたらした魔の者を打ち倒したという伝説があります」

「それはその料理人が最強だっただけでは……?」

「魔の者を打ち倒した後、祝宴によりその鍋を振るい、皆に料理を振舞い笑顔を与えたと言われています」

「料理人としての本懐だ……」

「そういった伝説のある鋼の鍋と同型の物がこちらというわけなのですよ」

「スゲー単純にその料理人がすげーっていう感想しか浮かばなかったな……」

「ちなみにその料理人が私です」

「鋼の鍋で世界を救った最強の料理人があんた!?」

「ええ、そうですよ」

「その鍋より、あんたの作った料理が食いたいな」

「ええ、その注文も受け賜らせていただきます」

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