第1865話:サフロス・リコイル~何とかする~

「この状態、なんともならんね?」

「ならんやろなぁ」

 敵に囲まれており手持ちの物資はもうなく、袋小路に押し込められている。

 更には武器は失っている。

 どうあがいても終わり以外の結末は見えず、二人そろって完全に諦める流れになっていた。

 そこに、

「諦めるにはまだ早いぜ!」

 追加で一人現れた。

「まぁ俺も物資はゼロだし、武器も壊れた。来てはみたが作戦はない」

「ダメじゃん」

「ダメだな。むしろお前が来たことでダメになったまである」

「いやいや、そんなことはないぜ。だって俺が来る前からダメだった諦めムードだったわけだろ? ならそれ以上にダメムードになることはない、さらに俺は「何とかなるんじゃないか?」という根拠なき自信はある。つまり、俺が来たことで好転すれどダメになることなんてないのさ」

「確かに」

「それはそうだが」

「人数も増えたわけだしな、よく言うだろう? 三人寄ればなんとやらと、結構どの世界行ってもこの言葉は三人なんだよな、なんとやらが何なのかはそれぞれによって違うが」

「あんたのとこはなんだったんだ?」

「うちは冬を越せるだったな」

「体温交換じゃないかよ」

「まぁ、窮地を凌げるって意味だったよ。なんか作戦とかあるか?」

「お前はないのか?」

「さっきないって言ったろ?」

「そういやそうだ。そうだな……せっかく三人になったし、一人が囮になってそのうちに二人逃げるって言うのはどうだろう」

「確かに二人が逃げ切れる可能性は高そうだが……、囮になった一人は?」

「そりゃあ逃げきれそうなところで二人が今度は囮になってもう一人を逃がすんだよ」

「なるほどなぁ」

「それで行こうか。じゃあ囮は任せた」

「え、俺なのか?」

「ああ、お前だ。私たち二人は二人そろった方がパフォーマンスがいいからさ、お前一人で囮になってくれ。それが一番生還率が高くなるんだよ」

「そうか……じゃあ俺が囮になる! しっかり助かってくれよな!」

「ああ! 必ずお前も助けてやる」

 そういって名前も知らん奴は囮になるべく走り出した。

 少ししてそいつが見つかってそっちに集中しているすきに私たちは抜け出すことに成功した。

「なぁ、あいつのために囮にならなくていいのか?」

「いや、その場で居合わせただけのやつだし、別に助ける義理はないだろ。あんだけ何とかなることに自信があるんなら、見捨てられても割と何とかできそうだし、なんとかなるだろ」

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