第1828話:ブライ・バチ~焼き付いた影~
「この壁の色、変じゃない?」
通りかかった壁、なにやら黒い模様があるように見えるのだが、何か違和感がある。
「この黒いの、塗料じゃない……?」
触ってみるとわかる。
塗料や建材の色ではない、汚れというわけでもない。
「この感じ、影?」
そうだ、見た感じのこの黒いのは影だ。
しかし、影にしてはおかしなところが多い。
まず、ここは日の光が直に当たっているので、壁に影は落ちない。
もしかしたら不可視の何かがあってそれの影かもしれないが、それにしては自分が手をかざしても自分の手に影が落ちない。
「影が焼き付いてる?」
何か変な感じだが、そこだけがずっと影になっているんだろう。
「不思議だなぁ」
影が焼き付くということは、すごい強い光を当てられてこうなったとか、なんかすごい闇の力があって影として焼き付いているのか、そういう感じなのだろう。
過去の何か熱い戦いがあったであろうこの場所に思いを馳せていると、何やら作業者らしき格好をした人達がきてこの壁の前で止まった。
「先日飛び散った影の染み、これで最後だな」「ええ、さっさと消してしまいましょう」
とまぁそんな会話をしたうえでその壁の影を消して去っていった。
特に歴史ある影とかではなかったらしい。
なんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます