第1796話:イパ・ニシキド~生き別れ~

「まさか……兄さん?」

「本当まさかだよな、生き別れになった兄弟がこっちに全く同じタイミングで来るなんてさ。案内の人にもしかしてって言われなかったらこんな至近距離にいたのに気付かなかったかもしれないな」

「気づいてよかったよ、ほんとにさ。俺はずっと探してたんだ、兄さんのこと。まさか死ぬまで見つからないとは思ってもみなかったけどさ」

「死んでからでも会えてよかったよ。昔の話を聞かせてくれよ、あの時から後、どうやって暮らしてたのかとかさ」

「うん、ずっと話したかったことがいっぱいあるんだ」


「え、一緒の飛行機に乗っていたのか?」

「まさかだよね、そのおかげで一緒にこっちに来れたんだもん、何が幸いするかわからないものだよ」

「いやぁ、でも空港で会えたかもな」

「いや、気づかなかったんじゃないかな? それこそ、今は昔の姿にそっくりな見た目になってるから一目でわかったけど大人になった姿だとわからないでしょ?」

「いや、わかるね。弟のことだぜ? 一目見ればわかるに決まってるさ」

「よく言うよ、さっき話した感じだと結構いろいろなところで行動が被ってたから、すれ違ってたんだと思うよ」

「本当になんで出会わなかったんだろう、不思議な運命だよなぁ……」

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