第1768話:ピクート・パル~低速~

「もうちょっとゆっくりしていったらどうだ?」

「動きが速すぎるってことか?」

「そういうわけじゃない。いや、君の動きは速すぎるが、もう少しここでゆっくり休んで行ってもいいんじゃないかという話をしているんだ」

「しかし、私は忙しい身なんだ。ゆっくりしている暇などない」

「大丈夫だよ、君は急がなくても速いんだから。昨日もいっぱいあるって言ってた予定を一瞬で消化しちゃって暇を持て余してたじゃないか。全然忙しい身じゃないよ」

「そうかい? じゃあ仕方ないな、お言葉に甘えてゆっくりしていこうかな」

「ああ、そうするといい」


「さすがにゆっくりしすぎじゃないか?」

「君がゆっくりしていけと言ったんだろう?」

「いやぁ確かにそうだが……、それにしてももうすぐ夜だぞ? 君は忙しい身だと言っていただろう」

「いいんだよ、もうしばらくはゆっくりしていくモードに入ったんだから」

「君がそれでいいというのならいいが……」

「まぁ、予定的にはよくはないけど、いいだろ」

「よくないんならよくないだろ」

「帰れというなら帰るが。仕方ない、今はゆっくりモードだから時間がかかると思うが……」

「そういうのがあるのか? 気分的な奴か?」

「そう解釈してもらってもかまわない、明日になっても予定の消化が進んでいないだろうが、そういうものだ。心配しないでくれ」

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