第1757話:テクル・トクル~空中遊覧船~
『快適な空の旅をお楽しみください』
空を飛ぶ船、雄大に広がる大地を遥か離れて浮かぶそれは完全に移動用ではなく、娯楽用のものだ。
その船の一室、まぁまぁ上等な部屋が私には割り当てられていてそこで悠々と過ごしていた。
揺れはほとんどない、詳しい理屈はわからないが航空力学とは無縁でどれだけ強い風であおられようと平気だというアナウンスが先ほどあった。
しかし、せっかくの空の旅、なぜ船室にこもっているかと言えば、外が嵐なのだ。
船自体は風にあおられることがなかろうとも、甲板上はそうもいかない。
ある程度は落ちないように安全性は確保されているとは言うが、雨は降り込むし落ちないとはいえ風に飛ばされる。
さらに言えば全方位雲に囲まれてなんにも見えやしない
そんな中甲板に出るのはまぁ自殺行為とまでは言わないけど、狂ってるといえるだろう。
「そんなことぐちぐち言ってないで早く遊びに行こうぜ、何のためにわざわざ嵐の日の空中遊覧船に乗ったと思ってるんだよ」
「やっぱりやめないか? 危ないしさ、絶対安全って言っても、万が一ってこともあるし……」
「あるわけないだろ、もしあるとしたらさっきのアナウンスで出るなって言うだろうよ」
「ぐぬぬ……」
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