第1649話:スリーム・ディルーツ~近道~
「遠回りしたくないですよね」
近道があるんですよという提案をされた。
「いや別に、いらんが」
知らない人にいきなり話しかけられて近道も何もないのではないかと思う。
「そもそも、私がどこへ行くか、知っているんですか?」
「知りませんが、どこにでも通じている近道があるんです」
そんなものはない。
「本当なんですって、ちょっと付いてきてください」
「いや、急いでるんで」
いきなり話しかけてきたやばいやつにほいほいとついて行くほどお人よしではない。
「いやいや、急いでいるならこそ近道じゃないですか。信じてきてくださいよ~!」
それでついて行くやつはそうそういないだろう。
「急いでるんで」
「うーん、釣れないなぁ」
釣れないなぁではない、釣る気があるのかどうかが怪しいくなるぐらいの杜撰な呼び掛け、いったい何が目的なのか。
「ただ私は近道をしてほしいだけなんですよ」
それの目的がわからないって話なんだよな。
「いいじゃないですか、ちょっと通るだけでいいんですから」
それだともはや目的が近道をすることじゃないみたいじゃないか。
「もはや近道に寄り道するみたいじゃないか。それはもう遠回りだよ」
「遠回りでもいいですから」
それはそれでよくないと思うんだが……というか、いつまでついてくるつもりなんだろう。
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