第1543話:イテギ・ラレット~改造パーツ~

「その腕……」

「な、なんだよ。新しくしたんだ、前のはだいぶガタが来てたからな」

「そうか」

 狩場で見かけた義手の男、不審なことがあったので声をかけてしまった。

 あの腕は見た目こそ他でも見かける一般的な義手だが、挙動があやしい。

 普通は見てもわからない程度だが、元義手技師の俺に見ればわかる。

 使用されているパーツにあまり、まっとうとは言えないものを使っている。

 俺たちの仕事は別にレギュレーションもないし、どんな強力なパーツや武器を使用しようが咎める必要はない関係ないが……

 義手で使用者を害するような可能性があるパーツを使用しているとなれば、それはまた話が変わってくる。

 しかし、直接指摘してもしらばっくれられる可能性が高い。

 見ただけじゃパーツの内容なんてわからないだろうと言われてしまうだろう。

 だから、こういう時は気付かれないように腕に細工をして事故が起きる前に破壊する。

 やり方はいろいろあるが、今回はすれ違いざまに関節部に特殊な粉末を流し込み動作を阻害してやる。

 そしてそのまま勢余って腕を折る。

「すまん、事故だ」

「俺の動かなくなってしまったんだが!?」

「ああ、俺は元だが義手技師だ。メンテナンスしてやろう。もちろん無償で、必要があれば上位のパーツも都合しよう」

 この自然な流れで良くないパーツを確認して言い逃れできない状態で問い詰め、換装をするんだ。

 ついでにそのパーツを付けた技師を聞き出して営業をやめさせたりもする。

 言い過ぎかもしれないが義肢界隈の平和を守っているのだ。

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