第1532話:フエシャ・レギレグ~永久凍土~
見渡す限りの氷の大地。
この凍土はこの世界の有史以来、ずっと凍り続けていて数多の生物も冷凍保存されている。
だいたい死んではいるわけだが、その生物によっては掘り起こして丁寧に解凍すれば生命活動を再開するものもいる。
俺はそういう生物を掘り起こす作業をしているわけなのだが、そろそろ後継ぎが欲しいんだ。
結構この仕事は楽しいから来てくれそうなものなんだけど、大変なこともいっぱいあるからなぁ。
まず第一に普通に寒いのもそうだし、氷を掘るのは重労働だ。
それだけなら別に特定の種族の人にはおあつらえ向きな仕事ではある、俺も寒さに強く力も強い。
体力もあるから、この仕事はかなり楽でいろんな珍しい生物が見られる楽しい仕事なんだ。
しかし、人は来ない。
俺も結構年だし、後継ぎができないとこの仕事は断絶してしまうかもしれない。
役所の記録にはこういう仕事があると残されるから誰かが仕事を探している時に紹介されるかもしれない。
それならこの仕事は残るがそれだと俺の望みが達成されることはない。
いや、達成すること自体は可能なのだが、それを知らずに来た後任に絶対に迷惑をかける可能性が高い。
死ぬ際はこの凍土の中でポーズを固定して死に、そのまま凍土の一部になりたいのだ。
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