第1512話:グア・レディオ~自然の力~

「自然の力というのは上手く使うと生活を豊かにしてくれるんですよ」

「例えば?」

 科学技術を捨てて自然と共に生きようと主張する人に捕まってしまった。

 まぁ面白そうだから話ぐらいは聞いてみよう。

「風の力を風車で捕まえてその回転を使って臼を動かせば自然の力で粉が挽けるんですよ」

「……なるほど!」

 だめだ、笑ってはいけない。

 単純な物理学だが、回転の変換をしているだけでも科学による技だ。

 いや、まだ原始的な部類だし、まだ自然と共に生きていると言ってもいいはずだ。

「他には?」

 水車とか言われたら困るな、絶対に笑ってしまう。

 回転の変換しかやれることないじゃないですかって言っちゃう。

 絶対に言っちゃう。

「風車で集める風の力でほとんどの回転させて使う器具を動かしているのでほとんどが風の力ですね」

 ん、待て待て、風の力は安定もしないし体積当たりの質量も大したことないからあんまり効率的ではないはず。

 何をどのようにしたらそんなことができるんだ?

「臼はほんの一例なんですよ、わかりやすいですしね。私たちの住んでいる街の映像見てみます?」

 見せられた映像は大きな複雑な形をしている風車が一つある街の映像。

 そこからありとあらゆる方向に回転する軸が伸びていた。

「この風車はですね、風を超高効率で受けて回転することができるのですよ。その力は大きめのダム一つ分の水力発電と同レベルだと言われています」

 これは……自然の力を科学力で増幅して生きるという本来普遍的な生き方ではあるのだけど、風の力だけを異常なレベルで有効活用している……!!!

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