第1476話:リッキ・ウリュート~カバーストーリー~
「おうおう、これはひどいな……」
派遣された先は何かが爆発したような跡、すでに周囲一帯の封鎖は完了しており、いるのはうちの職員のみだ。
「どうも、どうやら今回の現象は*****の出現とその干渉によるものであるようです。必要な封鎖期間は推定で4季。その間このエリアへの侵入を制限する必要があるのですが……」
「どうした? いつものカバーストーリーでいいんじゃないのか?」
「いえ、少々この場所は特殊でして、現状用意されている27種のカバーストーリーの何れをもってしても違和感が発生してしまうのです」
「それで私か……」
私の担当は……一つ一つ挙げていくときりがないか、少なくともこの場に呼ばれた理由はここで起きたことを誰にも知られないよう隠蔽するために偽りの事件事故を編み上げカバーストーリーとして提示することで私たちの扱っているものを世間的には存在しないものとすることだ。
この場合は爆発なので過去の大戦の不発弾やらガス爆発やら地下に火山があって爆発の影響で付近に毒物が溜まっているとか使うのがいつものなのだがここは十分な調査がされたうえで構築されている街だったので、その手の物は使えないし、魔法使いの暴走や、巨大生物の出現辺りか……
巨大生物が街の中心に突然現れたというのも無理があるし、討伐されたなら死体がないのもおかしく思われるかもしれない。
さて、どうしたものか……
しかしこの世界、なんでもあり得るのでカバーストーリーのネタには困らないと思っていたのだが、同様に露見の可能性も多いからつじつま合わせが大変だな……
「しかし、これわざわざ隠蔽する必要があるのかね?」
「どうなんでしょうねぇ……世界を滅ぼす可能性のあるオブジェクトとは言ってもこの世界では影響があんまり……」
しかし、私たちのミスで滅びた前の世界から続けている仕事だ。
続けることにしよう。
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