第1472話:バリアン・キャルト~泡と消える~
儚くも泡と消えた。
そう締めくくられた物語があった。
泡へと消えたそれは風へと変じ、世界を巡ることになる。
しかして消えた際に事実上死んだと認識されたそれはこちらに来ることになるのだった。
「しかし……、異種族の王に恋をするとか、身の程知らずにも程があるんじゃない?」
「仕方ないじゃない、下半身はともかく、顔は同じ造りをしているのだし……、一応人魚の姫という身分だったわけだし……」
「でも結局その身分を捨てて向かったわけでしょう?」
「それはそう。だけどやっぱりあのタコに騙されてたのよね……。普通に人の脚なんて得ずにあの声で魅了していればよかったかしら」
「タコは頭が下半身にあるような生き物だからねぇ、やっぱり下半身を重要だと考えちゃうんじゃないかな」
「それは納得」
「もし人魚の姿で行っていたらどうなってたかな」
「あの時代の人魚、船に乗る人から見たら本当に人を惑わす魔物みたいな感じの扱いだったから……」
「それなら上手く船ごと海に引きずり込んで海底に閉じ込めた方が上手くいきそうだよね」
「それはそれで魔物がやることっぽいような……」
「しかし、一度会ってみたかったよね、人魚姫」
「うん、だいぶ昔の人魚だもんなぁ、さすがにもういないよね」
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