第1304話:ヒカゲ・シオドメ~スキルツリー~

 スキルツリーの極端を目指し、スキルポイントを稼ぎ続けそれでも次のスキルがあることを確認しながらも道半ばに死んだ。

 そして転生した今、スキルツリーは初期段階までリセットされてしまっていた。

 レベル1、基礎スキル選択からやり直しだ。

 この世界ではより効率よくスキルポイント稼ぎができるかもしれない。

 そして、なんと過去に振ったスキルポイントはすべて返ってきていた。

 俗にいう転生ボーナスというものだろうか。

 とりあえずこれを振りなおして……

 いや、それでいいのだろうか。

 前の振り方では端にたどり着けなかった。

 それは前の振り方がただ一つのルートにひたすらつぎ込むというやり方でスキルポイントを振ってきたからだ。

 その結果見逃したルートや、獲得できたはずのポイントを失ってはいなかっただろうか。

 今回は少し趣向を変えて、いろいろな方向へ分けてスキルツリーを伸ばしてみることにする。

 軸は前と同じにして、それを補助する形でのスキル振りだ。




 なんだかんだあり、この世界に来て生前よりもはるかに多いスキルポイントを稼ぎ、生前の何十段階先までスキルツリーを伸ばした。

 しかし、まだ先がある。

 いつだったか、スキルツリーの端を見たいという話をすると「それは可能性の具現だな」と言われたことを思い出す。

 スキルツリーは人によって違うという。

 スキルツリーが長いのは、それだけ可能性に満ち溢れた存在だということか。

 どれだけ可能性を突き詰めても果てが見えない私はまったく底知れない存在ということ……

「底を知るために可能性のすべてをつぎ込む愚か者でもあるか……」

 冷静に考えてみるとそういうことになる、しかしここまで来て底を知らぬのも屈辱というもの。

 私の可能性の限界を探り続けるとしよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る