第1230話:スイビウ・ユシュルト~コールドスリープ~

「正気ですか?」

「止めてくれるな、実際のところ研究とかはどうでもいいけど私は未来を見てみたい」

「いや、コールドスリープすること自体は安全性も確保されていますしめちゃくちゃどうでもいいんですけど、正気を疑っているのは未来が見てみたいって理由の方です」

「よくある理由だろう、私は特に治らぬ難病を抱えているわけでも、今の世に絶望しているわけでもないのだからね」

「だからと言ってこの世界、すでに行きつくところまで行っている文明も持ち込まれていたりして、未来が見たいならそういう文明レベルの国へ行ってみるだけでいいじゃないですか。なのに、未来が見たいからって理由でコールドスリープを選択するのはさすがに正気を疑いますよ!」

「ううむ、確かにそうだが……、私はそれでも、未来が見たいという理由でコールドスリープを決行する!」

「なんか怪しいですね、あなた何か企んでいます? 別にコールドスリープは未来まで劣化なく行けるだけで若返りの効果とかは無いですからね?」

「私がそれを必要とするように見えるかい?」

「何か別の目的がありそうだったので、よくある勘違い目的を挙げてみただけです……そういえば最近考古学に興味があるみたいでしたが、もしかして未来で考古学者として大成するつもりだったりしますか? この時代を知っているから未来でいろいろできるとか考えているんじゃないでしょうね?」

「いいやいやいや、そんなわけないじゃないか、大昔の戦争で記録がほとんど消失しているからそれに近いことを期待してるなんてことはない」

「やはりそういうことだったんですね…… いいですか? 未来で戦争が起きて今の記録が消失することはおそらくありえませんし、もしそうなったらあなたは目覚めることなくこのポッドごと死にますからね?」

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