第1094話:クーテイ・ハータイ~早寝早起き~
「最近どうにも夜が眠くて」
「……正常なのでは?」
睡眠のことで相談があると言われて、不眠の話でもされるかと思ったのだけどまさか夜が眠いという話をされるとは思わなかった。
「いやいや、ちょっと前までは朝寝て夕方起きて、夜に遊ぶっていう生活をしてたんだぜ? 今の夜寝て朝起きて昼に遊ぶって生活が正常なもんか」
「今までが異常で今が正常なんだよ」
深刻な生活リズムのズレが治ってよかったなとしか言えない。
「異常正常は置いておいて、今まで構築した交友関係が夜に遊ぶベースだからさぁ、遊べなくて困るんだよね」
「なるほど、健康とかはどうでもいいから、時間が合わなくなると困ると」
「そうなんだよ、何とかならないかな」
うーん、不眠や昼夜逆転を直したいという相談はよく受けるけど、昼夜逆転にしたいという相談を受けることになるとは思わなかった。
どうしたものか。「うちは正常な睡眠生活のための相談所だからそれに対する答えは持ってないよ」と言うのは簡単な話なんだけど、せっかく頼ってきてくれたのだから何とかしてあげたい。
「そうだなぁ、普通は逆なんだけど、少しずつ寝る時間をずらしていって狙いの生活リズムで止めるっていうのがあるけど、試してみるのはどうだろう。今だと、少しずつ遅い時間に寝るようにしたらだんだん起きる時間が遅くなってそのうち夕方に起きるようになるんじゃないかな」
「なるほど」
まぁ、たぶんこの理屈で何とかなるだろう。
数日してまた彼がやってきた。
「どうにも早い時間に寝ちゃって、寝る時間を遅らせるってことができなかったんだよね」
「そうですか」
「でも、だんだんと起きる時間は遅くなってきたんだよ。これって改善されてるってことかな?」
「ちょっとよくわからないですね……」
単純に何か日中の疲労で長く起きていられなくなっているだけなのでは……?
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