第764話:ムスガフ・ジェニア~名前の由来~

「そういえばさぁ、みんな名前の由来って何なの?」

「名の通りだが」

「そのまま訳してもらえればわかると思うよ」

「いや、名づけの言語が違うんだからわからんだろが、共通語で訳してやろうか」

「共通語だとどうなるんだ? 考えたことも無かった」

「僕はやめておいてくれよ、前にやったんだけど碌な結果にならないんだ」

「なんだ、【賢者のナニ】か?」

「ななな、なんで知ってるんだ!?」

「そりゃあ共通語が分かるからな」

「この名前のせいで自己紹介するときにえらい恥ずかしいんですよ」

「賢者の部分だけ名乗ればいいんじゃないか」

「いやそれでもいいんだけど、フルネームで名前を入れなきゃいけない場面とかもあるだろ」

「あーそれはきついな、改名したらどうよ」

「いやそれも考えたんだけどさ、元の名前の意味が好きなんだよ」

「おお、そうだそうだ、そういう話だった。なんて意味の名前なんだ?」

「【明けの明星】だよ、かっこいいだろ?」

「いいじゃないか、それがまさかこの世界では【賢者のナニ】かぁ」

「それこそ改名したらいいんじゃないか?」

「何にさ」

「【賢者のナニ】から、【明けの明星】を意味する言葉にさ」

「なるほど、それはいいかもしれない」

「共通語ではどう言ううんだ?」

「【明けの明星】は名前に合う音で意味を当てると……、ハハイザ・ルルシキリだな」

「かっこいい響きだ」

「……それちょっと考えさせてもらってもいいか?」

「なんでさ」

「そっちだと自国の言葉で【世界一のクソ】って意味になってしまうんだよ……」

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