第748話:アルト・ワロ~骨抜きマン~

「うーん、やっぱり昨日の奴、アレを見てたよなぁ」

 昨日のことを思い出してもう少しちゃんと締めとけばよかったと後悔する。

 いや、まぁ詳しいことを知られなかっただけいいか。


 そう、俺の体質はできるだけ知られたくない。

 ちょっと可愛い子を見たら、文字通り骨抜きになってしまう体質なんて恥ずかしくて人には言えない。

 体質というよりも呪いなんだが……

 生前浮気性だった俺は、当時付き合っていた彼女に「他の女の子に骨抜きになりたいなら、なれるようにしてあげる」と呪いをかけられてしまった。

 具体的にどんな呪いかって言えば「異性に好意を抱くと体の骨が機能を失ってつぶれる呪い」だ。

 これで骨が抜けてぐしゃっとなっても死にはしないが、一発で浮気しそうになっていることがバレてえらい目に遭う、というものだ。

 それで死んでからもこの呪いは継続されてしまってあいつはもう隣にいないにも関わらずこの呪いに悩まされているというわけだ。

 できるだけ見られたくないし、見られたとしても事情を説明したくない、説明するぐらいなら殺す、殺すのもいとわない。

 マジでそんな感じだ。


 やっぱ昨日の奴探して殺しに行こうかな……

「昨日なんか骨抜きになってるような奴がいってさぁ」なんて広められてはたまらない。

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