第652話:アルカロ・オリス~古代生物~

 水族館に来た。

 水族館というのはまぁ水棲の生物を集めて生体剥製標本問わず展示してある施設であるのは存じているところだ。

 とまぁ、水族館は異世界を感じるにはとても都合通い場所で、大抵水棲の生物っていうのは原始的な物が多い、例外もあるが大抵の世界では水から生物が生まれたという話が多いからだ。

 というわけで色々な世界に原始的な生物の研究レポートを出すために、この世界で最も大きいエレヴェラヴォリス水族館へやって来た。

 他の近場にある水族館は何度か行ったことがあるけども、ここに来るのは初めてだ。

 規模が世界最大とは聞くが、どれ程のものなんだろうか。




 中に街があった。

 正直、一番驚いたのはそこだ。

 いや確かに展示のレベルも共学に値するものでもあったし、展示の量も莫大でとんでもない量としか言いようがないレベルで、というか一日とかそれこそ年単位で通わないと回りきるなんてことができるはずもないレベルだったのはわかっていたけどまさか入ってすぐ、建物に入ったはずが宿泊施設とその他商業施設が立ち並ぶ街があるとは思わなかった。

 空間を歪ませた建築には慣れていたけど、建物の中に街を作ってたのは初めて見た。

 宿泊施設だけならまだしも、街て。


 それだけじゃない。

 いや水族館の本質にはまったく触れていないレベルの話だった。

 水棲生物には原始的な生物が多いとは書いたが、この水族館はあらゆる世界の、つまりはあらゆる物理体系や進化レベルの世界の水棲生物が存在する。

 しかもそれを分類したライブラリが存在していて、ここに住むだけで水棲生物の研究が無限にできるようなものだった。


 そこで僕は学校を辞めて、ここに住むことにしたというわけ。

 レポート終わり。

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