大いなる悪意

 なんだか、ぬるま湯に漬かったような内容の話しか売れなくなってきたような気がします。

 いや、私がそう感じているだけでそうではないのかもしれませんが。

 いま、新しい市場を開拓することに成功した『異世界』には、圧倒的に悪意が足りない。

 だから見ていて味気ない。

 この悪意というのは、とどのつまり、何も知らない小さな子供にスナッフフィルムを見せ付けるような悪意です(これは、喩えです。念のため)。

 まあ、ようするに『箱庭』だということです。

 『箱庭』だからこそ、現実で我々を絶えず襲う理不尽や不合理などは皆無です。

 分かりやすい敵役に分かりやすい世界。

 そして、自分を全肯定してくれる仲間。

 これを、『箱庭』と言わずしてなんと言いましょうか。

 だから、いまチヤホヤされている『異世界』モノの殆どは、『箱庭』小説なのです(すべてがそうだとは言いませんけれど)。

 実際、乙一先生がそれをネタにした小説を執筆されていたのは記憶に新しいかと思います。

 それはさておき、こういう作品が売れる傾向にあるということは、みんな『現実』が満たされていない、もしくは、どうしようもない不安に駆られているからなのかもしれないなあ、と思ったわけであります。

 北朝鮮の将軍様の気分次第(というのは言いすぎかww)でいつミサイルが飛んでくるか分からない世界に、中東のイスラム原理主義を名乗る亡国の亡霊(サダム・フセインの元側近が主要幹部らしいのでこの表現が適切かとww というか、今のこの状況のほぼすべてがイラク戦争から派生しているような気がする。ISは言わずもがな、将軍様はアレをみて「やっぱ、核は持たなきゃやられっべ」とシコシコ核開発に勤しんだ結果がこの状況なわけですから)たちにいつ爆弾で吹き飛ばされたりするかもわからない世界に我々は生きている。

 そうでなくても、数多くの得体のしれない不安で世の中は満ちています。

 

 そんなどうしようもない『現実』から逃避するにうってつけの手段が『異世界』という『箱庭』なのかもしれません。


 だけど、私はそっちに逃げたくないな。

 というか、あのジャンルはよっぽど心が弱っているじゃないと酷く虚しくなるんです。

 これは、べつにディスっているわけじゃないんですけどね。

 私はどうしようもない話を書きまくって最後に、「俺がパブリック・エネミー・ナンバーワンだ。馬鹿やろう!」とビートたけしみたいに叫んで死にたいなあww


 駄文、失礼しました。

 

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