第1章はじめての彼女ができるまで第8話 十字を切って神に感謝
高校2年生になった。
原付免許を取ってバイクを買った。
モンキーだ。
ギア付きのバイクが欲しくて買った。
買ってすぐにハンドルとマフラーカスタムしたら翌日の朝盗まれてて、交番に届けた帰りにチャリパクッたら同じ警察官に捕まってパトカーで同じ交番に連れてかれて君は動機がはっきりしてるねぇ、と笑われた。
盗難保険で9割お金が返って来たからまた新しいバイクを買った。
スズキのコレダスクランブラーってバイク。
モンキーも楽しかったけど、車高が上がってよりバイクらしくなったのもあって走るのがより楽しくなった。
ある日、クラスの女子(もちろん可愛い)が自分の誕生日の話をしていた。
会話の流れで私が、
『祝ってやるよ』
と、言ったら、
誕生女『祝って祝って!』
と言うので、
私『、、じゃあ住所教えて、プレゼント届けるから』
誕生女『本当に!?えーとね、、』
と、自宅の住所を教えてくれた。
なんてこった!
我ながらキモいトークからなんか産まれた。
思わず十字を切って神に感謝した。
〜誕生日当日〜
さて、どうするか、、。
薔薇の花束はいくらで買えるんだろう?
給料3ヶ月分のパカッっと開けるやつとか?
、、ないない。さすがにない。
結局、妥当にケーキとロウソクを買ってバイクで届けることにした。
誕生女は、たまに話す程度の女子だったが、フラグが立ったことで急激に超絶可愛い子にランクアップした感はあったが、私はバイクを疾走らせながら浮かれ◯ン◯だった。
速く!もっと疾く!!
と、ムダに車体を倒してハングオン的な感じで誕生女の家へと向かう途中、誕生女がどうしたら私の彼女になってくれるか、あらゆる方向からの会話のフローチャートを考えてトゥルーエンドルートを導き出そうと、私の脳ミソもフルスロットルしていた。
左車線の路側帯をカッ飛ばし、あと5分程で誕生女の家の住所だなって辺りで、右前方の車が急なウィンカー&左折で私を轢いた。
あ、、コレ教習所で習ったやつだ。
メキメキと音を立てて倒れるバイク。その下敷きになる私。
前輪片方バイクに乗り上げてる車。
こいつはヤクイ。
完全に倒れた状態で身動きも取れず数秒呆然としてたが、車の窓が開き運転手が、
『大丈夫??とりあえずバックするね!』
と、車をバックさせた。
ッガタン!!
私の足の上のバイクの上の車のタイヤがバイクから降り、私はなんとかバイクの下から這い出ることが出来た、、。
車に轢かれた自分の足元を恐る恐る確認するが、、、あれ?身体痛くないぞ?
どうやら鉄板入りのブーツがなんとか耐えてくれていたらしい、!コレ履いてて良かった!!
さて、、、事故だ。
通報やらなんやらしなきゃいけないこともあるだろうし、まだ新しいバイクも傷モノになったし、車のドライバーのオッサンはなんかヘラヘラしてるし色々思うところはあったけど、、、
まぁいいや。
身体動くし。
バイクは、、フロント少し曲がってるけどタイヤ回るしエンジンかかったし。
いいやいいやと、名刺も貰わずオッサンを追い払ってまた走り出した。
軽く事故ったけどそれすらも誕生女に話す面白エピソードになるだろう。
そうだ。
私は急いでるんだ。
人生初の彼女が出来るかもしれない日に、事故くらいでは止まれない。
ようやっと誕生女の家についたら、バイクの音で誕生女が出てきたので、事故にあって瀕死の状態でも俺は誕生日プレゼントを届けに来たんだぜの演出のためにバイクを倒して下車してヨロヨロと誕生女に近寄った。
誕生女『どしたの!?大丈夫!??』
と、まんまとこちらの思惑どおりに心配をする誕生女に対して、
私『、へへッ、、チョット事故っちまってね、。、、ハッピーバースデー、。ホラ、プレゼントだ、。少し崩れちまってるかもしれないけどな、。』
、、、今思えば自分の境遇に泥酔していた私をロードローラーで轢いてやりたい。
すると誕生女は、
『えええ!?なにやってんの!??ちょっと、、おとーさーん!!!』
と、親を呼びに行ってしまった。
おじさんか、苗字にさん付けか、お義父さんか、なんて呼べば良いのかな?
なんて不束なことを考えてたら、誕生女のお父さんが出てきて私の身体の無事を確かめ、私のことを危ない無茶なことをする悪い若者だとこっ酷く叱りつけた。
そのあと誕生女と2人で少し話をしたんだけどお父さんの登場で、なんだかなぁ、、。
と、興が削がれたこともあり、
『また学校でね』
と、早々と引きあげた。
その後も誕生女とはたまに話す程度の仲にとどまり、得たものといえば、たまに異音を発するバイクと、帰ってきてから急に痛み出してしばらくジャンプが出来なくなった足くらいだ。
1ヶ月後、誕生女のお父さんがトラックにハネられて亡くなってしまったことを知った時には、今後の安全運転を堅く心に誓ったものだ。
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