ウスキニセショウロ(Scleroderma flavidum)
世の中にはニセモノと呼ばれるものが存在する。ルイヴィトンやグッチのニセモノだったり、プレイステーションのニセモノだったり、蟹肉のニセモノだったり、ウルトラマンのニセモノだったり、たくさんある。人間が作り出したニセモノだったら、まあまだニセモノと名付けてもよいかと思うのだが、自然界のものの中にも人間が勝手にニセモノ呼ばわりしているものが、実にたくさんある。
というわけで、今回は「ウスキニセショウロ」の話である。
ニセショウロ科ニセショウロ属の外生菌根菌きのこで、学名を「Scleroderma flavidum」、漢字で書くと「薄黄偽松露」である。ニセと名付けられているが、松露に似ているからといってなにもニセモノ呼ばわりしなくてもいいじゃないかとぼく個人的には大いに思う。松露が食材として珍重される一方、このウスキニセショウロは毒きのこである。昔は間違って食べた人も大勢いたのではないだろうか。食毒の成分は不明らしいが、中毒症状としては不快感、嘔吐、貧血症状、悪寒、頭痛などを引き起こすという。
まあ毒があるから忌み嫌われているのは仕方がないとして、ちゃんとした名前を与えるべきではないだろうか。百歩譲っても、せめて「ドクショウロ」くらいな名前にしてあげたらよいと思う。別に本物もニセモノもないのに「ニセ」とは何事だと、きこの自身は思っているに違いない。ぼくがウスキニセショウロだったら完全に訴えているであろう。
ちなみに本家本元の松露は松江城内ではまったく見つからないが、このウスキニセショウロはたくさん見つけることが出来る。しかも松ではなく杉の木の根元に群生している場所がある。ニセなんて呼ばれているからさ、あえてグレているんじゃないのだろうか。
ニセなんかじゃないよ、ウスキニセショウロよ。
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