街カフェ バージニア

畑々 端子

第1話 プロローグ

その季節季節において好きな歌がある。6月は愛おしい人にまだ一緒にいて欲しいと思う気持ちを歌ったこの歌が好きだ。


 

 鳴神の少し響みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ



 そして、 この歌には、たとえ雨が降らずとも、あなたが留まるなら私も留まります。と言う意味の返歌がある。


 

 鳴る神の 少し響みて 降らずとも 我は留まらむ 妹し留めば



 

 そして、この返歌をしてくれたのは、後にも先にも隣の腰かけていた彼女だけだった。



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