第55話 雨上がりの衝動買い
梅雨のある日の夕方の 出張からの帰り道
ポツリと落ちた
一、二、三粒 四粒 五粒 見る見るうちにザーザー降り
焦って探す避難先 瞳に映るホームセンター
高いヒールもなんのその 一目散に駆け出して
息せき切って飛び込んだ 水も
店内
外はさながらサウナのよう 額に浮かぶ玉の汗
焼けたアスファルトの臭い ゆらゆら揺れる夕暮れの街
夕立去った雲間から 伸びる一筋の光
ひょっとしたら これはアレ? 「天の
わが家の方へ目をやると 長くて急な下り坂
腰に手を当て見下ろす先は 夕日に映えるオレンジタウン
突然光った豆電球 右手で左手ポンと打つ
右足軸に半回転 バック・トゥー・ザ・ホームセンター
「これください」の一言で ゲットしたのは真っ赤な自転車
パンツの裾をちょいと曲げ 坂の上で
身体を走る緊張感 胸がドキドキ期待感
ペダルをゆっくり踏みだして 真っ赤な自転車処女滑走
オレンジ色の太陽と雨の後の湿った空気
全部カラダで受け止めて 「快感」なんて呟いて
風のように駆け抜ける まわりの景色は早送り
真っ赤な自転車 衝動買い
スーツもヒールも不釣合い?
そんなの問題ナッシング
真っ赤な自転車 衝動買い
理由がよくわからない?
わかった 説明してアゲル
真っ赤な自転車 衝動買い
そこまで夏が来てるから
フライング気味の夏女
RAY
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