詩集：行方知らずの『詩』

「ハッピーエンドを叶えてよ」

法被を着たまま豌豆（えんどう）豆食べる草臥れた老人が居た

お祭りなんかとっくのとうに終わってしまったのにさ

老人は未だに酒を嗜みながら豌豆豆を食べていたんだ

アスファルトにへばりついていたガムを見て

「長年かけてお前を観察してきた

少しはアスファルトに同化しようと努力していた体だったのに

今じゃすっかりガムらしさを取り戻しちまったな」と

何やら意味の分からない独り言をボソボソとつぶやいている

草臥れた老人はどこか哀し気な目つきだった

老人の居座る場所は独特な所で

ちょっと歩けばお洒落でカジュアルな洋服店があるし

その隣にはサブカル女子とかにウケそうな写真屋がある

一方で同じ建物の二階に中学受験を対象にした学習塾もある

それでも草臥れた老人の居る所はどこか陰気臭くて

一連のカジュアルとかサブカルといった単語は無縁そうな

横文字で表すなら"アンダーグラウンド"な路地裏で

ここら辺は治安良さそうでそこまで良くもないんだけど

かといってどこかの街ほど修羅な場所なんかではなくて

アスファルトに誰でも見れるように

「歩きタバコ禁止」とデカデカと書かれた道路標識が

あるのにも拘らず懲りずに歩きながらタバコを吸う輩が

ちらほら歩いているような程度でつ

ああ、でも塾帰りかなんかの中学生が

たまたまチャラい阿保（ガキ）共にぶつかってしまって

それで因縁付けられている場面を見たことはある

まあでもそんなヤツはどこにでもいるわな

本当は「どこにでもいる」はないのが理想的だが

とりあえずそんな事はおいておいて

あんな風変わりな老人が路地裏にいる時点で

この街はそこまで治安はよく無さげだ

この老人には「ハッピーエンド」なんて概念を知ってるんだろうか

法被来て豌豆豆食う老人に ハッピーエンドははたして存在するか

まあどうでもいいかそんなことは

結局は誰彼がどんなエンド迎えようが

とどのつまり俺に影響することはなくて

要するに俺がどんなエンド迎えるかどうかが

俺の人生としては重要な事なのである

トゥルー・エンドかノーマル・エンドか

よもやの意外なアナザー・エンドか

もしくは運悪くもバッド・エンドか

それはまぁ俺がどのように動くかによって

変わっていく事象ではあるが

そう どんな形のエンドを迎えたとしても

それが俺にとって"ハッピーエンド"になればそれでいいんだ

それが結局重要だ

他方の人生から見れば仮に

トゥルー・エンドかノーマル・エンドか

よもやの意外なアナザー・エンドか

もしくは運悪くもバッド・エンドか

どちらかに分類されてしまったとしてもだ

俺にとって"ハッピーエンド"であればいい

俺もまぁ頑張るよ "ハッピーエンド"のために

でもこの先何が起こるかわからないので

一応頼んでおく ハッピーエンドを叶えてよ