第1090話「正体不明」
全くの未知数であるからこそ、これからとる些細な行動が命取りになりかねない。
トランプにババ抜きというものがある。
数人で遊ぶゲームだ。
時計回りにランダムに配られたカードを二枚が揃えば捨てていき最後にジョーカーが一枚手元にあれば負けというものである。
ならば、手元にジョーカーが回ってくれば次のプレーヤーに渡すか、保持するかを否応なく選択することになる。
しかし、同じババ抜きにもかかわらず抜かれた奇数のカードがジョーカーと限らないのが今の状態である。
ジョーカーは二枚で揃っているため捨てられるが、奇数のカードが複数あればその複数のカードは捨てることができない。
この大勢の人間の中で果たして、王家と契約を交わしていない輩がどれだけいるか目隠しをしてランダムに引き抜かれたカードの中から見つけ出すにはすべて照合するしかない。
それができないというならばあぶりだすしかない。
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