第1059話「ユノンと帰るべきではない場所」

 ここまでで、ユノンのことを表面上は理解したつもりでいる。

 もちろん、これから対峙する現国王とは上っ面だけでも敵対しない関係を永劫約束できればとは思っている。

 いつ裏切られるかおびえながら過ごすよりも突然裏切られた方がいくらかましであろう。

 

 こちらの内情を知ってか知らずか出迎えには先ほど助けられたばかりのメイドを寄越してみせた。

 明らかに敵意よりも好意が垣間見える。

 だからと言って、危険なお使いとご褒美委歓喜したりはしてやるつもりはない。


「再び、ご尊顔を……」


「結構です」


 ユノンは言わせない。

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