第899話「踏み込むまでに」

 今から向かうのはユイナには馴染みのないせかいなのだ。

 人は平等ではないと思い知らされる場所の代名詞というのは、非現実的であってそこで生きる者にとっては日常である。

 それは自分自身で打開することを封じられてしまった閉じられた世界。


 甘んじて受け入れることは心を奪われるも同義。

 決して揺らぐことはないのだ。

 それをユイナはわかっているからこそ、踏み込んでこない。 


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