第743話「精霊という名の……」

 犠牲が出ててはいけになんてきれいごとを言っていては命にかかわる。

 バニティーが容易く消されたように。

 戦いたくはない。


 できる事なら、穏便に済ませてほしいところ。

 会話ができる相手ではない。

 だからこそ、先手を打ちたい。


 こちらの動きに気がつくよりも先に倒せることがべスト。

 それが結果として、被害を最小限にする。

 雨が降り続く中であれば多少の物音はかき消される。


 人が減りすぎても、こちらの動きを悟らせてしまう。

 追手は結界の中にいた事で一度は見失っている。

 捉えた。 

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