第738話「嘆くよりも進め」

 幾度となく死線を潜り抜けてきた。

 しかし、目の前の人形は文字通り人の形こそしていれど所詮は作り物なのだ。

 魂の込められているわけでもなければ、術者の命に直接かかわることも無いときた。


 一方的に自分の命を懸けるには余りに馬鹿げている。

 それでも、次から次に現れるというのだから始末に負えない。

 害虫駆除と相違ない。


 害悪をねこそ取り払う事に意味などありはしない。

 あだなすものを排除する事に意味を求めてはいけない。

 存在が醜いと嘆くことは誰でもできる。

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