第557話「決死の脱出劇」

 高度が上がれば上がるほど火球による有効放火範囲は増すばかりである。

 ならば、物は試しだと割り切る。

 何もしないでチャンスを捨てるなんてことはしたくはない。


「ユイナ、今だ!!」


 上空に向けての最大魔力で生み出した水を圧縮し天に掲げる。

 すでに外界の温度との差が有る為蒸発が始まり、辺りは水蒸気の霧に包まれるが爆発を起こすほどではない。

 しかしそれも、上空から真っ赤に燃える小規模太陽が吹き飛ばす事になる。


 結界の中にいるというのにこの星が爆砕し宇宙の塵にでもなるかのような凄まじい轟音が、鼓膜を通り越して身体の芯に響き渡る。

 五感の全てが機能を停止しているのは分かる。  

 それどころか、表面の細胞の全てが破壊されてしまったを理解するのに時間はかからなかった。

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