第478話「霧深い海を見詰めて」

 今すべきことはこの場一帯の情報の確保であって殲滅でも救助活動でもない。

 あちらこちらに息絶えた獣人が転がっている。

 皆一様に膨大な水の質量に押しつぶされたのではなく、衝撃で吹き飛び岩に打ち付けられている者いる。


 周囲が樹木で満たされているならば襲撃者からは、この獣人を倒した事を把握していない可能性が高い。

 それ以前に本当に狙って撃っているのかすら怪しいまでに規則性が無い。

 再び衝撃が地面を伝わりスペラの元へと辿り着くが、遥か北の方角からという事も有り僅かに感じられる程度にまで微弱なものとなっていた。

 

 しかし、なぜそのようになったかは今目の前に開けた大海原を目の当たりにしたことで理解することになった。

 霧が薄らと漂う中に二つの陰。

 これこそ元凶。

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