第423話「急傾斜でさえもと思へ」

 降りてきた時に辿った傾斜を再び登っていくことになるのだが、整備された階段だと言われても誰も疑う事はない程に足に負担もなく軽快に駆け上がることができた。

 それでも数千段の階段だと思えば優しくなどないように感じるが一万段近い階段もあるというのだから、比べればましなのだろう。

 登りたくなどないと思む反面、挑戦してみたいと思うのもあり困難なほど燃えるのだから仕方がない。


 登りきった後に振り返ればそこは静まり返った清き静寂の世界が広がっていた。

 澄み切った湖にあんな巨大な神生物がいるなど思いもしないだろう。

 結局のところ同じ場所へと戻る形になったのだから、再び東に進むことになる。


 南から北へ渡る近道は存在していないのだから、遠回りになろうと円周上を進んでいく。

 このまま辿っていっても結局東の果ての海まで行かなくては、地割れは回避できないはずである。

 亀裂が徐々に狭まっている事だけはわかっている。


 海までさけてしまっていては渡るのは困難になるはずである。

 そうなっていないことを祈りつつ険しい岩肌を踏み外さぬように進んでいく。

 

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