第375話「魂を別つまで」

「ミャーじゃないにゃ」


「そうね」


「聞かないのかにゃ」


「見てたから」


「ミャーは自分一人じゃ何もできないのにゃ。こんなんじゃ、アーニャを助けるなんて絶対無理にゃ……」


 スペラは重々しく口を開く。

 その言葉は普段とはあきらかに違っている。

 覇気など感じられず、ディアナまで辛うじて聞こえる程か細い声だった。


「一人で出来ないことがあるなんて当たり前でしょ。その強すぎる思いがスペラちゃんの魂を割ったのよ。もう気がついてるはずよね?」


 強すぎる思いがこの世界では具現化することがある。

 必ずしもそれが叶うとも限らないのだが、特定の者は必ず何らかの形で露わになる。

 アマトに関わったことでその可能性は必然へと確定されている。


 その事象を理解する事もまた必然だという事をスペラも身をもって体現した。

 

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