第307話「芸術の館」

「んなところで突っ立ってねーでこっちさ来いが。荷物さ、衣紋掛にかけたらいいが」


 建物そのものの外観もさることながら内観も彫り込みが目を惹く。

 男に導かれるまますんなりと中へと入ったのも、警戒心より興味の方が勝ったからだ。

 ユイナ達も壁一面に彫り込まれた紋様に魅入られている。


 芸術には無関心だと勝手に決めつけていたルナでさえ興味深げに見つめていた。

 ディアナは二人とは違い何か訝しげに目を細めていたが、それは罠の類ではなくあくまでも彫刻にである。

 それもそのはずで、吸血鬼が人に噛みついている場面が刻まれていたからである。


  

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