第160話「生かされた吸血鬼」

「こ、ここは……」


 目を覚ましたディアナが絞り出すように小さくつぶやいた。

 吸血鬼という超再生能力を持ってしても回復するまでにかなりの時間を要したことを鑑みると、意力が凄まじいわけではなく何らかの特殊効果が付与されていたとみたほうがしっくりくる。


「ディアナと初めて会った村にゃ。と言ってももう村とは呼べそうもないけどにゃ」


 スペラは苦笑いして見せた。

 冗談を言うつもりがあったわけではないのだが、村が水没した光景はあまりにも壮絶で経験したkとがない以上状況を未だに飲み込めてはおらず説明のしようがないのだ。


「見逃してもらえたみたいね……。はじめから殺すつもりなんてなかったみたいだけど……」


 それはスペラもうすうす気が付いていた。

 黒ずくめの青年はどこかアマトと似た雰囲気があり悪意のようなものは感じられなかったのだ。

 言うなれば黒い勇者、アマトと正反対に位置する別次元の英雄。


 襲われたというのに憎む気がしなかった。

 ディアナこうして目を覚ましたからなのか、他に理由があるのかわからない。

 ただ、また近いうちに合う事になるのではないかという予感がしていた。


 

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